「自立」について考えてみましょう2018年10月26日 12時59分22秒

10月の研究会終了後は、メンバーの結婚お祝い会と祝起業を兼ねて、ずいぶん以前によく懇親会をしていたお店で祝杯を挙げ、夜遅くまで居座ってしまいました。出禁にならなければいいのですが・・・。

11月から今年度2回目の主任介護支援専門員研修が始まります。トレーナーとして研修会にお手伝いいただくメンバーの皆さん、よろしくお願いいたします。
研修会の受講者には自立支援の「成功事例」の報告書を提出して頂きますが、毎回、悩まされる事例が多くあります。文章のまとめ方という技術上のことで再提出を求めることもありますが、そもそも、「自立とは何か」「自立支援とは何か」ということを考え直す必要がある事例が多いことです。何か「できた」から「自立」した、あるいは「自立支援」したと安易に見ているのではないかと思われるのです。

いままでも研究会で話してきましたが、社会福祉基礎構造改革の一環として介護保険制度が始まり、介護支援専門員を始め介護サービスや障害者福祉サービスに関わる人々は「自立」と「自立支援」ということばを使わないことがないほど口にしてきました。しかし、ことばだけが一人歩きしているのではないかと思うときがよくありました。介護支援専門員を始め対人援助職にとって、「自立とは何か」「自立支援とは何か」を時々考える必要があると思います。
他人に頼らない生活をすることが自立と思われていますが、本当に他人に頼らなくて生活していけるのでしょうか。人はそもそも一人で生きていくことはできない生物です。社会が便利になり豊かになったとしても、やはり人は生物学的にも社会学、心理学、宗教学などあらゆる視点から見ても一人で生きていくことはできないのですが、多くの人は勘違いや錯覚に陥ってしまいます。
自立を「一人で全てできること」「人に頼らずに生きていくこと」と思うのなら、全ての人は「自立する」ことは不可能ということになります。民法などの視点から見ると「自立」とは経済的に他に依存しないということになるのですが、そもそも、そのことすら経済原理から考えるならば疑問を抱かざるを得ません。

何をさして「自立」したということができるのでしょうか。人が他の人にどの程度依存しているかを考えると、生存に関する相互の影響の範囲から考えることもあるでしょう。その場合、影響を大きく受ける人の場合は「自立」していないと判断するのでしょうか。そうであれば、乳幼児や介護の必要な人は「自立できない」というのでしょうか。国際生活機能分類(ICF)の視点で自立を考えるということは、自立における依存性を認めなければ成り立ちません。そして、その依存性をどのように個別性から普遍性に高めていくかということが、今日改めて問われていると思います。

人が「生きる」うえで必要なことは何かについて、自分自身ももっと思惟を深めなければならないと思っています。

11月以降の研究会の日程をお知らせします。

<11月研究会>
日時: 11月17日(土)13:30〜16:30
    会場は13:00〜17:00使用です。
会場: CHUTOホール804

<12月研究会>
日時: 12月15日(土)13:30〜16:30
    会場は13:00〜17:00使用です。
会場: CHUTOホール804
*研究会終了後は、恒例の年末懇親会(望年会)です。申込みされていない方は、懇親会お世話担当にご連絡(グループLINEを利用されている方はLINEのスケジュール管理ページで)ください。

<1月研究会>
日時: 1月12日(土)13:30〜16:30
    会場は13:00〜17:00使用です。
会場: CHUTOホール804