今月(8月)は休会にします2021年08月13日 21時31分33秒

酷暑が続いていたと思ったら、急に台風・温帯低気圧などがやってきて、大雨が続く旧盆となりました。
旧盆で医療機関の休診日が続く日々ですが、COVID-19の感染拡大は深刻になっています。
16日の週は毎日研修が続いて今まで以上に厳しい日々となりますので、対策上、休会にします。次回は10月2日(土)の予定です。
8月に予定していた内容は、10月以降にまわします。

ところで、「76年目の夏」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか。
6月23日は「慰霊の日」として沖縄県が定めている記念日です。
8月6日は広島市中心部に原子爆弾が投下された日です。
8月9日は長崎市浦上に原子爆弾が投下された日です。
そして、8月15日はポツダム宣言受諾と降伏を日本国民に発表した日です。
1945年(昭和20年)8月から数えて76年目の夏です。
子どもの頃から、いくつかの疑問がありました。
沖縄を日本というなら、なぜ、「沖縄戦」というのだろうか。
8月6日と9日は「日本」に原爆が落とされたのではなく、「広島市」と「長崎市」に落とされたのではないだろうか。(当時の人は「広島に落とされた」と言っていたし、長崎の人は「浦上に落とされた」と言っていた。)
8月15日は「終戦記念日」ではなく、降伏宣言日またはポツダム宣言受諾日ではないだろうか。(アジアの国々は「解放記念日」としてお祝いしていたし、戦闘はその後もしばらく続いていた。)
国として、敗戦を「終戦」と言ったり、原爆などを前面に出すことで、「加害者としての日本」の姿を見ないようにしているのではないか、という思いを持っていました。殉難者としての国民意識がありながら、人々の被爆者に対する差別と排除の意識にはとても耐えがたく思えていたからでした。
第二次世界大戦後の日本社会では、「白人崇拝」にも似た風潮が拡がり、朝鮮半島出身者をはじめとするアジア出身者に対する差別や排除はさらに強まっていったことが記憶にあります。
ところが、ドイツは第二次世界大戦に関わる「犯罪者」に対して、現在でも厳しく対応していますし、ヴァイツゼッカー大統領の演説にもあったように「私たち」の問題として今なお国として国民としての課題になっています。
そのちがいはどこから来るのか、心理学、哲学、宗教学、政治学、法学、社会学などから説明はできても、その解決のための道筋と行動が大切であると思っています。

今年の「長崎平和宣言」では、田上長崎市長が「「長崎を最後の被爆地に」 この言葉を、長崎から世界中の皆さんに届けます。広島が「最初の被爆地」という事実によって永遠に歴史に記されるとすれば、長崎が「最後の被爆地」として歴史に刻まれ続けるかどうかは、私たちがつくっていく未来によって決まります。この言葉に込められているのは、「世界中の誰にも、二度と、同じ体験をさせない」という被爆者の変わらぬ決意であり、核兵器禁止条約に込められた明確な目標であり、私たち一人一人が持ち続けるべき希望なのです。」(全文は日本語および英語で長崎市HPに掲載されます)と静かで強いメッセージを発信しました。
93歳の被爆者自身による「誓い」は、時間の関係で短いながらも、しっかりとメッセージがこめられ、76年前の光景が目に浮かぶ内容でした。
今年も城山小学校児童の合唱、式典最後には純心女子高校生徒の合唱があり、長崎市の式典に対する変わらぬ姿勢は毎年心に残ります。
2年前2019年11月に来日されたローマ教皇フランシスコは、2017年末に、原爆後の長崎を撮影したアメリカ占領軍カメラマンのオダネル氏の写真集から、亡くなった弟を背負い焼き場で順番を待つ少年を撮影した写真を絵はがきにして「戦争がもたらすもの」と題して、世界中のカトリック教会に配付しました。その写真から伝わってくる静かで厳粛なメッセージはとても大きいものです。
写真という「その時」の一場面を切り取った画は、見る者の認識によって映し出されますが、優れた画は本質を見出しやすくしてくれます。ことばも、本質をとらえて現すことができるように表出したいと思っているのですが、なかなか難しく、いくつもの表現を用いなければ本質に近づくことすらできない現状です。

さて、今後、次の日程で研究会を開催予定にしていますが、情況により中止(休会)することがありますので、直前の連絡も含めて、確認してください。
不明なことがあれば、LINEかE-mailか、このブログのコメント欄(原則、コメントについては一般公開しません)から連絡してください。

<2021年8月研究会> 休会です!
<2021年10月研究会>
日時: 10月2日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2021年11月研究会>
日時: 11月6日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2021年12月研究会>
日時: 12月11日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年1月研究会>
日時: 1月15日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年2月研究会>
日時: 2月19日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年3月研究会>
日時: 3月19日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)

今月・今週の一冊2021年08月22日 00時39分49秒

「ものの見方・考え方」について書かれた書物のひとつに、対人援助や介護などについて少しですが触れた一冊があります。私が研修などの講義で触れる内容と近いことが書かれていて、初めて知ったのはNHKラジオ講座でした。そのときに、私が日頃から思ったり、考えたりしていることはすごい哲学者も考えていることんだなあと思いましたが、そのテキストを加筆した本が翌年「わかりやすいはわかりにくい?—臨床哲学講座」(鷲田清一 ちくま新書 初版2010年3月)として出版されています。
著者の鷲田清一氏は京都大学出身で大阪大学総長なども歴任された哲学者です。「臨床哲学」を提唱して、人々の生活に根ざしたところから「対話」による哲学を実践されてきました。エッセイのような形でものごとを説き明かし、哲学を身近な思惟としています。フッサールやヘーゲル、西田幾多郎などの哲学者が言っていることをひとことで私たちの日常生活の中にある現象などに落とし込んでいて、「なるほど」と思える内容が入っているので、自分でさらに咀嚼すると周囲の現象を見直すことができると思います。
「第1章 問いについて問う—意味について」「第2章 こころは見える?—ふるまいについて」から始まり、「第13章 わかりやすいはわかりにくい?—知性について」本文188ページのお手軽な体裁でありながら、盛りだくさんな内容です。
本の文末で、モーリス・メルロ=ポンティの「哲学とはおのれ自身の端緒がたえず更新されてゆく経験である」のことばで締めくくっていることが、とても印象的です。

ところで、「動機づけ」を展開するうえで、「阻害要因」と「促進要因」についてどの程度考慮しているでしょうか。何が本人の行動を促進するのか、何が本人の行動を阻害するのかと考え、阻害要因は取り除き、促進要因は強化する必要があると誰もが考えて処理しようとします。そのことはとても重要ですが、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。「阻害」とは「促進」という概念があって成り立っているということです。「したいこと」に対しての阻害要因については直ぐ思い浮かぶかも知れませんが、「しなければならないこと」に対しての阻害要因なかなか思いつかないものです。
「しなければならないこと」なのになかなかとりかかれない、「その気」にならないなど日常でもありがちなこと、特に小学生の頃の夏休みの終盤の慌ただしさなどにみられる、阻害要因が毎年わかっているはずなのによくわかっていない、阻害要因除去のための取り組みがされないということを思い起こすと、人は「第三者」の立場に立つとあれこれ批評することができるのに、「当事者」になると
どうも難しいようです。
それでは促進要因であればどうかといえば、自分で左右できるものよりも他者から与えられるもの、他者に左右されるものばかり目についてしまいます。
自ら進んで課題に取り組むということが必要だ、重要だといわれますが(私も言いますが)、「自分に求められていることは何か」ということから考えを進め、行動していくことについてちょっと考えてみませんか。

前述した本「わかりやすいはわかりにくい?—臨床哲学講座」はそのヒントを示してくれるかも知れません。

さて、次回の研究会は10月で、今後、次の日程で開催予定していますが、情況により中止(休会)することがありますので、直前の連絡も含めて、確認してください。
不明なことがあれば、LINEかE-mailか、このブログのコメント欄(原則、コメントについては一般公開しません)から連絡してください。

<2021年10月研究会>
日時: 10月2日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2021年11月研究会>
日時: 11月6日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2021年12月研究会>
日時: 12月11日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年1月研究会>
日時: 1月15日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年2月研究会>
日時: 2月19日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年3月研究会>
日時: 3月19日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)