今月・今週の一冊 ― 2021年08月22日 00時39分49秒
「ものの見方・考え方」について書かれた書物のひとつに、対人援助や介護などについて少しですが触れた一冊があります。私が研修などの講義で触れる内容と近いことが書かれていて、初めて知ったのはNHKラジオ講座でした。そのときに、私が日頃から思ったり、考えたりしていることはすごい哲学者も考えていることんだなあと思いましたが、そのテキストを加筆した本が翌年「わかりやすいはわかりにくい?—臨床哲学講座」(鷲田清一 ちくま新書 初版2010年3月)として出版されています。
著者の鷲田清一氏は京都大学出身で大阪大学総長なども歴任された哲学者です。「臨床哲学」を提唱して、人々の生活に根ざしたところから「対話」による哲学を実践されてきました。エッセイのような形でものごとを説き明かし、哲学を身近な思惟としています。フッサールやヘーゲル、西田幾多郎などの哲学者が言っていることをひとことで私たちの日常生活の中にある現象などに落とし込んでいて、「なるほど」と思える内容が入っているので、自分でさらに咀嚼すると周囲の現象を見直すことができると思います。
「第1章 問いについて問う—意味について」「第2章 こころは見える?—ふるまいについて」から始まり、「第13章 わかりやすいはわかりにくい?—知性について」本文188ページのお手軽な体裁でありながら、盛りだくさんな内容です。
本の文末で、モーリス・メルロ=ポンティの「哲学とはおのれ自身の端緒がたえず更新されてゆく経験である」のことばで締めくくっていることが、とても印象的です。
ところで、「動機づけ」を展開するうえで、「阻害要因」と「促進要因」についてどの程度考慮しているでしょうか。何が本人の行動を促進するのか、何が本人の行動を阻害するのかと考え、阻害要因は取り除き、促進要因は強化する必要があると誰もが考えて処理しようとします。そのことはとても重要ですが、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。「阻害」とは「促進」という概念があって成り立っているということです。「したいこと」に対しての阻害要因については直ぐ思い浮かぶかも知れませんが、「しなければならないこと」に対しての阻害要因なかなか思いつかないものです。
「しなければならないこと」なのになかなかとりかかれない、「その気」にならないなど日常でもありがちなこと、特に小学生の頃の夏休みの終盤の慌ただしさなどにみられる、阻害要因が毎年わかっているはずなのによくわかっていない、阻害要因除去のための取り組みがされないということを思い起こすと、人は「第三者」の立場に立つとあれこれ批評することができるのに、「当事者」になると
どうも難しいようです。
それでは促進要因であればどうかといえば、自分で左右できるものよりも他者から与えられるもの、他者に左右されるものばかり目についてしまいます。
自ら進んで課題に取り組むということが必要だ、重要だといわれますが(私も言いますが)、「自分に求められていることは何か」ということから考えを進め、行動していくことについてちょっと考えてみませんか。
前述した本「わかりやすいはわかりにくい?—臨床哲学講座」はそのヒントを示してくれるかも知れません。
さて、次回の研究会は10月で、今後、次の日程で開催予定していますが、情況により中止(休会)することがありますので、直前の連絡も含めて、確認してください。
不明なことがあれば、LINEかE-mailか、このブログのコメント欄(原則、コメントについては一般公開しません)から連絡してください。
<2021年10月研究会>
日時: 10月2日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2021年11月研究会>
日時: 11月6日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2021年12月研究会>
日時: 12月11日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年1月研究会>
日時: 1月15日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年2月研究会>
日時: 2月19日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年3月研究会>
日時: 3月19日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
著者の鷲田清一氏は京都大学出身で大阪大学総長なども歴任された哲学者です。「臨床哲学」を提唱して、人々の生活に根ざしたところから「対話」による哲学を実践されてきました。エッセイのような形でものごとを説き明かし、哲学を身近な思惟としています。フッサールやヘーゲル、西田幾多郎などの哲学者が言っていることをひとことで私たちの日常生活の中にある現象などに落とし込んでいて、「なるほど」と思える内容が入っているので、自分でさらに咀嚼すると周囲の現象を見直すことができると思います。
「第1章 問いについて問う—意味について」「第2章 こころは見える?—ふるまいについて」から始まり、「第13章 わかりやすいはわかりにくい?—知性について」本文188ページのお手軽な体裁でありながら、盛りだくさんな内容です。
本の文末で、モーリス・メルロ=ポンティの「哲学とはおのれ自身の端緒がたえず更新されてゆく経験である」のことばで締めくくっていることが、とても印象的です。
ところで、「動機づけ」を展開するうえで、「阻害要因」と「促進要因」についてどの程度考慮しているでしょうか。何が本人の行動を促進するのか、何が本人の行動を阻害するのかと考え、阻害要因は取り除き、促進要因は強化する必要があると誰もが考えて処理しようとします。そのことはとても重要ですが、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。「阻害」とは「促進」という概念があって成り立っているということです。「したいこと」に対しての阻害要因については直ぐ思い浮かぶかも知れませんが、「しなければならないこと」に対しての阻害要因なかなか思いつかないものです。
「しなければならないこと」なのになかなかとりかかれない、「その気」にならないなど日常でもありがちなこと、特に小学生の頃の夏休みの終盤の慌ただしさなどにみられる、阻害要因が毎年わかっているはずなのによくわかっていない、阻害要因除去のための取り組みがされないということを思い起こすと、人は「第三者」の立場に立つとあれこれ批評することができるのに、「当事者」になると
どうも難しいようです。
それでは促進要因であればどうかといえば、自分で左右できるものよりも他者から与えられるもの、他者に左右されるものばかり目についてしまいます。
自ら進んで課題に取り組むということが必要だ、重要だといわれますが(私も言いますが)、「自分に求められていることは何か」ということから考えを進め、行動していくことについてちょっと考えてみませんか。
前述した本「わかりやすいはわかりにくい?—臨床哲学講座」はそのヒントを示してくれるかも知れません。
さて、次回の研究会は10月で、今後、次の日程で開催予定していますが、情況により中止(休会)することがありますので、直前の連絡も含めて、確認してください。
不明なことがあれば、LINEかE-mailか、このブログのコメント欄(原則、コメントについては一般公開しません)から連絡してください。
<2021年10月研究会>
日時: 10月2日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2021年11月研究会>
日時: 11月6日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2021年12月研究会>
日時: 12月11日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年1月研究会>
日時: 1月15日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年2月研究会>
日時: 2月19日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
<2022年3月研究会>
日時: 3月19日(土)13:30〜16:30
会場: 名古屋国際センター 第2研修室(3階)
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