12月で例会はひと区切りとします2022年11月13日 20時45分07秒

 11月になって秋の直中のようになりましたが、今年は10月にも夏日の日があったりと、秋の色づきの前に木々の葉が暑さで日焼けしたのではないかと思えるような変化も見られました。紅葉の見頃は同じ地域でも差があるのは当然ですが、今年の立冬(11月7日)を境に日中と朝夕の温度差が大きくなり、紅葉・黄葉散策のときの衣服をどう選べばよいか迷ってしまいます。今年の京都は紅葉見物を兼ねた観光客が溢れる日が多くなったようで、静かな散策は望めないようですが、それでも山を背にした神社仏閣や庭園を含めた景色はいつ見ても飽きがこないのは、その景色が情緒と組み合わさって、自分のそのときの気持ちを映し出すからではないでしょうか。

 11月が近づくと山小屋が閉まり始め、雪で小屋が埋まってもよいように冬支度を行い、多くの山小屋では11月初旬〜中旬頃には翌年の小屋開きまで静かに長い眠りに入ります。時機を失すると翌年の準備ができないまま閉めなければならず、山小屋の主は観天望気の見極めを慎重に行います。私が若い頃の山行で11月の初めに吹雪に遭ったとき、運良く山小屋の主が下山する直前に辿りついて、たった一人の「宿泊客」として迎え入れていただいたことを時折懐かしく思い出します。また、よく訪れていた山の地元猟友会の方が、猪鍋をするからと誘ってくれたりしたこともありました。11月から12月にかけての時季は今でも山への誘惑に心を動かされます。
 あれからずいぶんの歳月が流れ、何時の間にか、一年が短く感じられるようになるだけでなく、身体のあちらこちらもかつて思っていたような「強さ」ではない「弱さ」を基礎にした動きへと移ってきました。

 ところで、この研究会も発足からおよそ20年となりました。当初の頃とはメンバー対象者も内容も変えてきましたが、対人援助に関わる人に大切していただきたいことを、それは職業としてのということもありますが、ものごとの「そもそも」(principle)や考え方、展開方法、関連領域や隣接領域についても知識や技術だけではなく実体的に学んでほしいと思ってきました。臨床をとおして生きることの真理と生きることを支える意味について考えてほしいと思ってきました。
 時代とともに、というよりも、人とともに時代が移ろいで行く中で、「そもそも」を基底にしている自分自身を動かす力をどこに焦点化していけばよいか考えてきましたが、しばらくの間、ゆっくりと整理したいと思うようになりました。以前は「拡がっていく」思惟を大切にしてきましたが、今では「収束していく」思惟へと切り替えることが増えてきました。ある意味では、ようやく「そこ」に辿りついたともいえるかも知れません。

 そこで、考えを整理したり、在り方を考えるために今までの例会は一区切りとし、12月で幕を下ろします。秋になって木々が紅葉・黄葉になり葉を落としていくのは自らの命を最小限の力で維持するためですが、私自身も人生のまとめをするために必要最小限の力に落として「仕舞う」準備に入ろうかと考えたからです。
 ただ、法定研修会などにあたってファシリテーターなど研修スタッフを務められる方々をはじめとしたスタッフ養成教育の対象となる方々に対しては、教育指導内容の研修やトレーニングを兼ねて集まりをもつことは適宜行う予定にしていますので、必要に応じてブログ(メインタイトル「福祉と介護のマネジメント研究会」も改称するかもしれませんが、URLは変更しない予定です。)で開催案内などをお知らせします。ブログは不定期であっても、みなさんにお勧めしたい書籍・文献などの紹介をはじめ、メッセージやみなさんの学習サポートなどになるようにと考えています。
今後、みなさんがそれぞれのステージで丁寧に活動されることを祈念します。

 なお、自分自身がずっと続けてきている探究をさらに深めるために、何人かの人とはお目にかかってお話ししながら思索を整理する場(読書会のようなもの)をつくるつもりですが、教育指導の場ではなく、私的な思惟の場になりますのでご理解ください。

 さて、12月研究会は12月10日(土)13:30〜16:30に会場(名古屋国際センター 第2研修室:3階)を予定しています。
会場に来られない方にはオンライン(会場などの都合などで万全にはできませんが)参加をサポートします。 当日、オンラインで参加(出席)を希望する方は、12月8日(木)18時までに「オンライン参加希望」の旨、連絡してください。(事前登録者に自動的にミーティングID等を連絡することはしません。)希望者には必要に応じて確認の上、ミーティングIDなどを12月9日(金)にお知らせします。オンライン登録されていない方で希望される場合には、個人メールアドレスを添えてその旨し込んで下さい。
 また、会場使用にあたっての注意事項(以前に記載しています)も遵守していただきます。

 不明なことがあれば、LINEかE-mailか、このブログのコメント欄(原則、コメントについては一般公開しません)から連絡してください。

「100分de名著」12月放送について2022年11月29日 16時19分24秒

NHKのEテレで、12月は「中井久夫スペシャル」が放送されます。(放送:月曜日午後10:25〜10:50、再放送:火曜日午前5:30〜5:55・翌週月曜日午後1:05〜1:30)
今年の8月に大きな足跡を残して中井久夫先生が亡くなりました。彼のメッセージや研究などについては、私も研修講義や研究会の中などでしばしばとりあげていました。私が大きな影響を受けた人々の中でも敬慕するお一人でした。
「100分de名著」は伊集院光さんと安部みちこアナウンサーの司会がゲストと対話しながら「名著」を紐解きながら真理を探究していく番組ですが、「中井久夫スペシャル」は精神科医で筑波大学教授で著書も多い斎藤環先生がゲストとして登場します。
「義と歓待と箴言知のひと」の3冊の著書と2つのエッセイをとりあげて、中井先生のメッセージに迫ろうとするものです。

第1回12月5日放送 「『心の産毛』を守り育てる—「最終講義」」
第2回12月12日放送 「『病』は能力である—「分裂病と人類」」
第3回12月19日放送 「多層的な文化が『病』を包む—「治療文化論」」
第4回12月26日放送 「精神科医が読み解く『昭和』と『戦争』—「『昭和』を送る」「戦争と平和 ある観察」」
NHKテキスト12月(定価600円)は既に出版されています。

「心のケア」ということばが氾濫している現在、そもそも「心のケア」とは本当はどういうことをいっているのかなども含めて、中井先生のメッセージを受けとってほしいと思います。精神科医療に関わる援助職だけでなく、多くの人に「中井久夫の箴言」を知って欲しいと思っています。